言葉にできないことを問いつづける

わかりやすくすれば、いつか伝わるだろう。

正しいことは、いつか伝わるだろう。

対話を重ねれば、いつか伝わるだろう──

しかし、その考えは少し楽観的すぎた。

うまく伝わらなかったのは、言葉が悪かったわけでも、伝え方が拙かったわけでもない。

そもそも、最初から伝わらないのだ。

相手は他人だ。

分かりあえるとは限らない。

伝えられるかもしれないという淡い期待は、もう抱かないことにしよう。


相手に伝えようとして発したぼくの言葉は、ぼくの想いを伝えきれていない。

想いのすべてを言葉にできないからだ。

それでも、問いつづける。

相手の想いをどう感じ取ればよいのか。

ぼくの想いをどんな言葉に変換すれば伝わるのか。

もう少し、この隙間を埋めてみたい。

いまだ言葉として捉えられていない事象を、なんとか言葉にできないだろうか?

この命題について、ここで取り組んでみたいと思う。

序文 オープニングエッセイ コンセプトノート

言葉にできないことを問いつづける

『診察室の象』 コンセプトノート — 現象とコトバの間を探る

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